ポルトガル語を学び始めた時に、一番にびっくりするのが、この主語と動詞の関係です。この記事を読めば、日本語や英語には見られない、この独特の「熱く冷たい関係」を理解することが出来るはずです!ポルトガル語を学ぼうかと考えているアナタにお勧めの記事です。
まず確認!ポルトガル語の「主語」にはどんなものがある?
シンプルに説明しますね。
①自分・自分たちのこと:
「わたし」= Eu 「わたし達」= Nós
②目の前の相手のこと:
「あなた」= Você 「あなた達」= Vocês
③その他の人のこと:
「彼・彼ら」= Ele・Eles
「彼女・彼女ら」= Ela・Elas
主語と動詞の「熱い関係」とは?
結論からいうと、ポルトガル語の動詞は主語の種類によって密に変化(活用)するんです。まさに「熱い関係」があるんですね。
例えば、「買う」という動詞を考えてみましょう。
日本語の場合を見てみましょう。
「私は毎日パンを買います。」
「わたし達は毎日パンを買います。」
「あなたは毎日パンを買います。」
「あなた達は毎日パンを買います。」
「彼(彼女)は毎日パンを買います。」
「彼ら(彼女ら)は毎日パンを買います。」
どうですか、日本語の場合、動詞「買う」は主語が何に変わっても(活用しても)、いつも「買います」ですね。
では英語はどうか?
“I buy bread everyday.”
「私は毎日パンを買います。」
“We buy bread everyday.”
「わたし達は毎日パンを買います。」
“You buy bread everyday.”
「あなた(あなた達)は毎日パンを買います。」
“He(She)buys bread everyday.”
「彼(彼女)は毎日パンを買います。」
“They buybread everyday.”
「彼ら(彼女ら)は毎日パンを買います。」
どうです?
英語の場合もあまり動詞の「買う(buy)」は主語によって変わりませんよね。
唯一、主語が「He」「She」の時だけ、動詞buyに「s」が付くぐらいです。
ではでは、主語と動詞が「熱い関係」にあるポルトガル語はどうか?
ポルトガル語の「買う」という動詞は「Comprar」ですが、「まず確認!ポルトガル語の「主語」にはどんなものがある?」で考えた主語との組み合わせで考えてみましょう。
“Eu compro pão todo dia.”
「私は毎日パンを買います。」
“Nós compramos pão todo dia.”
「わたし達は毎日パンを買います。」
“Você(Ele・Ela) compra pão todo dia.”
「あなた(彼・彼女)は毎日パンを買います。」
“Vocês(Eles・Elas) compram pão todo dia”
「あなた達(彼ら・彼女ら)は毎日パンを買います。」
どうでしょうか?気づきました?
そーなんです、動詞の形が主語によって変わってしまうのです!!
細かい文法のことは専門書にゆずりますが、ポルトガル語は「主語と動詞に熱い関係」があるのです!!
今回は「現在形」だけを説明しましたが、「過去形」とか「未来形」といろいろ含めていると、一つの動詞の変化が何十種類にもなることもあります。ひぇ~
そうです、主語に対して動詞が自分の姿を優雅に変えて、ぴったりと寄り添うんですね。
ポルトガル語を学ぼうと思っている人は、この美しい個性を覚えておくといいと思いますよ。
主語と動詞の「冷たい関係」とは?
では次に、「主語と動詞の冷たい関係」に関してです。
さっきまで主語と動詞のアツアツな関係を話していたのに、「どうして急に冷たい関係?」と思うかもしれません。
一言で言うと、「主語が省略されることがある!」ということなのです。
なんてことでしょう!
先まで熱々カップルだったのに、主語が省略されてしまうのです!!
「冷たい関係」に急転落です・・・
でも、それはなぜか??
それは、動詞だけを見たら、主語が分かっちゃうからなんですね。
例えば、“Compro pão todo dia.”って聞くと、「compro」だから、「私が買う」ってことが主語を言わなくても分かるのです。
例えばポルトガル語で2人で話しているとき、こんなシチュエーションもよくあります。
あなた:Sim, compro(pão todo dia).
日本語はポルトガル語と同じで主語を省略することが出来ますよね。
あなた:はい、毎日パンを買いますよ。
みたいな感じで。
でも英語だとどうか?
わたし:Do you buy bread everyday?
あなた:Yes, I do. (buy bread everyday)
こんな感じで、「You」と「I」を省略することが出来ませんよね。
今考えた、3つの言語の会話を考えると、ポルトガル語はより日本語っぽく話すことが出来ますよね。
動詞の変化(活用)さえしっかり覚えることが出来れば、主語なんかすっ飛ばしてスピーディーに会話が出来るのです!
15年くらいポルトガル語を話してますが、ホントにこれ、ポルトガル語の「いいとこ」だと思います。
「ニューフェイス主語」の登場と昇格!
さてさて、ポルトガル語の主語の大御所は最初に説明したとおりです。
ところが、近年になって「ニューフェイス主語」が登場したのです。
それは、「Nós(わたし達)」と同じ意味の「A gente(ア ジェンチ)」なのです。
もともと「gente」には「みんな」って意味があるんですが、そこに「A」がくっついて「A gente(わたし達)」って意味なのです。
これって便利な主語なんですよ~。
さっき説明したように、Nós(わたし達)って主語を使っちゃうと、動詞の変化(活用)が「~mos」ってなって、動詞の形が長ったらしくなってしまうんです。
つまり「わたし達はパンを買います」って言いたいときに、普通なら、
Nós compramos pão.
ってなりますが、
「A gente(わたし達)」を使うと、
A gente compra pão.
となって、短い言葉で話せるようになるんですよね。
(発音してもらえば分かると思います)
ところがこの便利な「ニューフェイス主語くん」、私がポルトガル語を勉強し始めた15年くらい前は、まだまだオフィシャルな表現ではなかったんですよ。
私がポルトガル語で講演会などをしているときに、かっこいいな~と思って「A gente」を使ったら、後でブラジル人の友人から「だめだよ、あんな公式な場でA genteなんか使ったら。ちゃんと、Nósって言わなくちゃ」って言われたのを覚えています。
ニューフェイスくんはまだまだ公には認められていなかったんですね。
でも、いまはもう大丈夫なようです。オフィシャルな場で結構みんな使ってますし、私が講演会でA genteを連発しても、何も言われなくなりました。
よかったね、ニューフェイス主語「A gente」くん、きみもこれで大御所たちの主語に仲間入りだ!!
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まとめ:ポルトガル語、主語と動詞の「熱く冷たい関係」
いかがだったでしょうか、「主語と動詞の熱く冷たい関係」、楽しんでもらえましたか?
確かにあたらしい言語を勉強するのは簡単なことではありません。でも、自分の知っている言語と比べながら、その違いや個性を楽しむことが出来れば、楽しく勉強を続けることが出来ますよ。
またこんな感じで、個性的なポルトガル語の特徴を楽しくお伝えしていきますね!
「言語の持つ個性を楽しみ学ぶこと」が継続のコツなんだね~
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